ご挨拶
ご挨拶
このたび、「ADHD特性のある人の、学び方、働き方、楽しみ方」をテーマとして、2025年3月1日(土)、2日(日)の2日間、日本ADHD学会第16回総会を、東京都新宿区の東京医科大学病院大講堂をお借りして、開催させていただく運びとなりました。
ICD-11ではADHDの特徴について、高いレベルの刺激や報酬がない場合に注意の持続が困難となるが、逆に高レベルの刺激や報酬がある場合には、不注意症状が目立たなくなることが示されています。このようにADHD特性のある人は困難さがあることはもちろんですが、その困難さが支援の工夫次第で緩和でき、場合によっては強みにつながる可能性もあるのではないかと考えております。
現在、「学び方」に関して、特別支援教育や高等学校通信教育の発展などにより、その人らしい学び方の選択が可能となってきています。困難さを抱え、強みを伸ばしていくような教育を、ご本人と家族が選択することのできる社会が実現することが望まれます。また厚生労働省が中心となって推進されている「働き方」改革は、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革と言われています。このような考えから、ADHDの特性がある人も、自分で自分の特性に合った働き方が選択できるようになることが重要と考えます。またADHD特性のある人が、自身の困難な面をしっかりと受け止めながら、困難さへの対応と強みの活用により、社会的な発達、成長、前進がみられた場合に、支援者・治療者として、喜びを共有しそれを楽しむという「楽しみ方」について理解することも大事だと考えております。
今回の総会では、このような考えから、「学び方」、「働き方」、「楽しみ方」の3つのシンポジウムとこれらのテーマに沿った3つの特別講演を準備しています。長崎では古くから中国や西洋からの多様な文化を受け入れてきた歴史があります。このような多様性の街から、様々な知識や視点の発信を行い、ADHD特性のある人についての支援・治療の発展に寄与することができればと考えております。今回は現地開催(東京都新宿区)となり、ライブ配信はありませんが、オンデマンド配信は実施する予定です。できるだけ多くの方のご参加をお待ちしております。
2024年10月
- 日本ADHD学会 第16回総会会長
- 長崎大学生命医科学域保健学系作業療法学分野
長崎大学子どもの心の医療・教育センター今村 明