会長挨拶

本学会の運営には、大変お世話になっております。

2018年3月3日(土)、4日(日)の2日間、東京医科大学を会場に、日本ADHD学会第9回総会を開催させて頂くことになりました。今回の総会テーマは「一人一人に向きあうADHD支援」としました。

ADHDの社会的認知も広がり、ペアレントトレーニングや認知行動療法なども多様な方法が実践されてくるなど、子どもや家族に対する指導・支援方法も発展してきています。治療薬も3種類承認され、それぞれの特徴を生かした多様な治療・対応が可能になって来ています。また、基礎的研究面でも、遺伝学的解析や神経生理学的解析も進められ、ADHD発症の分子病態や薬理学的理解も深められて来ていますし、脳機能解析研究により、診断および治療効果の判定に客観的指標がもたらされてきています。この様に、ADHDに対する病態解明、診断、治療のそれぞれが発展してきていることを踏まえ、本学会では、今までに報告されてきたエビデンスを集め、ADHDの個人特性の差に注目した、一人一人に向き合うADHD支援について考えたいと思います。

そのため、以下の内容を含むプログラムを企画しております。特別講演および教育講演には、ADHDの適切な診断と治療についてのご講演や、個人の特性の評価とそれに応じた対応に関するテーマでお話し戴くことを企画いたしております。また、臨床心理士の国家資格化に伴い、一人一人への対応には、臨床心理士の役割もさらに大きくなっていきます。国家資格化を踏まえた、臨床心理士のADHD診療における役割についてのご講演も企画いたしております。シンポジウムは3つ予定しております。一つは、臨床心理学的対応、ペアレントトレーニングに取り組まれている先生方に、実際のご経験を踏まえた対応法についてお話しいただきます。また、基礎研究の進歩について、遺伝学的、薬理学的、脳機能的解析についてお話し戴きます。もう一つは、就労や人権の問題などを含めた成人のADHDへの対応や、小児から成人への移行における問題や対応について討議したいと思います。

自治医科大学は、栃木県にありますが、今回の総会は、宮島祐先生にご協力いただき、皆様がご参加しやすい新宿で、東京医科大学をお借りして開催することとしました。専門医のみならず、一般診療で関わる先生方、臨床心理士や研究者の皆様方、垣根なく、多くの方々にご参加いただき、勉強していただけるように、また、熱い議論によりADHD診療を深めていただけるようにお願いいたします。多くの皆様のご参加と、ご支援をお願いいたします。

平成29年11月吉日
日本ADHD学会第9回総会会長
自治医科大学 小児科学
山形 崇倫